IEMT公式情報・リソース
統合的眼球運動テクニック
統合的眼球運動テクニック(Integral Eye Movement Technique:IEMT)は、構造化された眼球運動と的確な質問を組み合わせ、つらい感情体験やアイデンティティのパターンが心の中でどのように保持されているかを探る、短期的で体験的なアプローチです。
IEMTでは、出来事を何度も詳しく語り直すことだけに頼るのではなく、感情インプリント、アイデンティティ・インプリント、そして問題の持続に関わる可能性のある「慢性化パターン(Patterns of Chronicity)」を扱います。このサイトでは、IEMTの考え方、活用領域、最新の研究、トレーニング、専門基準についてご案内します。




研究
新たに発表された研究
IEMTとEMDRで用いられる眼球運動の探索的比較
学術誌 Journal of Evidence-Based Psychotherapiesに掲載されたMaastricht Universityの研究では、否定的な記憶を想起した成人33名を対象に、IEMT式眼球運動、EMDR式眼球運動、対照条件を比較しました。各参加者は、無作為化された順序ですべての条件を体験しました。
両条件で苦痛感が低下
介入直後および1週間後のフォローアップにおいて、IEMT条件とEMDR条件はいずれも、対照条件より苦痛感のスコアが有意に低くなりました。
有意差なし
介入直後およびフォローアップのいずれにおいても、IEMT条件とEMDR条件の間に統計的な有意差は認められませんでした。
60.6%
条件名を知らされていない状態で、参加者の60.6%がIEMT条件を好むと回答しました。
重要な留意点: これは、主として非臨床集団から成る少人数のサンプルを用いた探索的研究です。各条件の実施時間は20分であり、IEMTまたはEMDRの完全なモデルを再現したものではありません。結果は今後の研究につながるものですが、臨床集団を対象とした追試が必要です。
van Heugten-van der Kloet, D., Boonstra, A., Trouk, N. and ten Brinke, A. (2026). An Exploratory Comparison of IEMT-Versus EMDR-Directed Eye Movements on Changes in Emotionality and Distress During Recall of Negative Memories. Journal of Evidence-Based Psychotherapies, 26(1), 1–18.
01
IEMTとは
IEMTは、感情的な体験や自伝的記憶が、記憶・感覚・意味・アイデンティティの相互に関連するパターンとして表現され得るという観察に基づいています。構造化された眼球運動と、順序立てて組み立てられた質問を用い、すでに形成されたパターンを探り、更新していきます。
体験
感情インプリント
元の出来事から長い時間が経過しても、まるで今起きているかのように強く感じられたり、意識を引きつけ続けたりする、感情を伴う体験です。
アイデンティティ
アイデンティティ・インプリント
「自分はこういう人間だ」といった自己についての結論が、過去の記憶と結びついたものです。
持続
慢性化パターン
注意、言語、行動、対人反応に繰り返し現れ、困難な状態の持続に関わる可能性のあるパターンです。
IEMTの基礎と構造を知る
02
IEMTとEMDR
IEMTは、どちらも指示された眼球運動を用いることから、眼球運動による脱感作と再処理法(EMDR)と比較されることがあります。しかし、眼球運動を使うという共通点だけで、両者が同じアプローチであるとは言えません。基礎となるモデル、手順、言語パターン、そして全体的な支援の構造には違いがあります。
共通する技法があっても、モデルは同一ではありません
眼球運動は最も分かりやすい共通点です。両者を比較する際には、対象となる体験の選び方、セッションの構成、体験内容の開示の扱い方、問題が持続する仕組みをどう捉えるかについても検討する必要があります。
- IEMTでは、慢性化パターンと、困難な状態が持続する過程を明確に検討します。
- トラウマの語りや対象イメージだけに依存せず、感情インプリントとアイデンティティ・インプリントを扱います。
- 記憶の内容を、必ずしもプラクティショナーに詳しく開示する必要はありません。
- IEMTの完全なモデルには、一連の質問、観察、眼球運動のパターンが含まれます。
03
IEMTの活用領域
IEMTでは、技法を診断名に当てはめることよりも、その人が困難をどのように体験しているかを探ることを重視します。プラクティショナーは、自らの能力と実践範囲を守り、必要に応じて適切な専門機関へ紹介しながら、感情、行動、アイデンティティに関連するさまざまな課題にこのモデルを活用しています。
感情的な圧倒感
トラウマに関連する苦痛
人間関係のストレス
行動の変化
怒りと反応性
悲嘆に関連する苦痛
アイデンティティの探求
恐れや恐怖症
04
トレーニング、認定、専門基準
IEMTプラクティショナー協会は、一般の方々の安全を守り、IEMTモデルの信頼性と一貫性を支えるため、トレーニングの体系、認定基準、専門基準を整備しています。







